2014年11月6日木曜日

車の静粛性について

アクセラ1.5Lについては、「うるさい」と言う人と「静か」という人がいるようです。普段乗っている車との比較でどう感じるかというのは当然あるとしても、それだけでなくデシベルで測定できるような「音量の大きさ」で捉えるか「音の不快さ」で捉えるかによっても違ってくるのではないでしょうか。

絶対的に静かな車を作りたかったら大排気量自然吸気エンジンを搭載して車体の剛性を高くして遮音材を大量に入れれば静かになりますが、なりふり構わずそういうことをすると大きくて重くて高い高級車になってしまいます。コストとサイズに制約のある小型車を設計するにあたっては、絶対的な音量を少なくする努力にも限度がありますので、あとはその音をどう感じさせるかといった工夫が必要なのではないでしょうか。

例えば、MT車で自分でギアを選んで自分でアクセルを踏み込んでエンジン回転数を上げる場合、低排気量エンジンで回転数を上げれば当然音量は大きくなりますが、自分で意図してエンジン回転数を上げた結果として想定通りにエンジン音が大きくなりますので、さほど不快には感じないはずです。一方、ハイブリッド車でバッテリー残量が低下して充電のために突然エンジンが回り出す場合には、意図せずして想定外に発生する音ですので、音量がさほど大きくなくても不快に感じられます。自分の話し声は決してうるさく感じない一方で、近くにいる赤の他人の会話はうっとうしく感じられるのと同様です。

他にも、高速走行中でしたらロードノイズや風切音が騒音の中心になりエンジン音の影響はさほどありませんが、停止時のアイドリング音は回転数が少なくて音量が小さくてもよく聞こえます。そのような場合、ロードノイズが気にならないよう、敢えてエンジン音を大きめに設定してエンジン音の方が気になるようにすれば、ロードノイズが気にならなくなることで、音が小さく感じられたりします。乗り物の中でヘッドホンをつけて小さい音量で音楽をかけると、音楽に集中するために外の騒音があまり気にならなくなるのと同様です。

工業製品の満足度というのは、最終的にはユーザーがどう感じるかという主観によって形成されますので、聞こえ方をコントロールすることで客観的な音量を下げることなく主観的なうるささを低減することができます。