2020年3月4日水曜日

排気量と燃費

内燃機関のことを何も知らないど素人の素朴な疑問ですが、同じ重量の車を同じように走らせる前提で、1.5Lエンジンよりも2Lエンジンの方がWLTC燃費(≒実燃費)が劣る理由がよくわかりません。人見理論では、機械損失は回転数の1.5乗に比例することから、ある程度排気量に余裕を持たせて低回転で回せば、大排気量のポンポングロスを補って余りあるとされていて(どこかのインタビュー記事で、税金を抜きにすればデミオには2.5Lエンジンが理想といったことが書いてありました)、日本向けのデミオのガソリンエンジンを1.3Lから標準の1.5Lに変更した際には、「この方がカタログ燃費はともかくとして実燃費は良い」と宣伝されていました。それをCセグメントのサイズに換算すれば、1.5Lエンジンよりも2Lエンジンの方が実燃費が良いとされなければ話の辻褄が合いません。

排気量に余裕を持たせた方が設計が楽なのでしたら、欧州向けにも北米向けの2.5Lエンジンを採用して税金と保険料を安くするために最大出力だけ120psくらいまで落とせば、製造コストはほとんど変わらず、ダウンサイジングターボのように低回転でのトルクが太くなるはずなのですが、欧州では排気量課税ではないにも関わらず、欧州向けには未だに2Lエンジンが採用されています。

環境対策でディーゼルエンジンの排気量を増やすのだって、ありものの2.2Lエンジンのトルクを中容量変速機のトルク容量に合わせて270Nmに抑制すれば(どうせCセグメントで460Nmもあってもホイールスピンしますし)、負荷にかなりの余裕が生じてそれが環境性能のマージンになるはずです(EGRを使えないくらいに負荷が増大するとNOx排出量が急激に増加します)。ほぼ全域で270Nm出て最大出力も2Lガソリンエンジンと同じく150psくらいは出るでしょうから、動力性能は申し分ありません。2.2Lエンジンはシーケンシャルターボを積んでいますのでコストは増えますが、その代わりターボラグは大幅に減少します。これなら開発費をかけずに1.8Lディーゼルエンジンの不満をほぼ解消できます。どうせSkyactiv-Xだって、高価な補機をいろいろ積んだ結果、1.8Lディーゼルエンジンよりも重くて高くなったのですから、2.2LディーゼルエンジンだからといってSkyacrtiv-Xよりも重くて高くなることはないでしょう。技術的には全く面白くありませんので、技術者は気乗りしないでしょうが、営業サイドからそういう要請はないのでしょうか。

(2022年8月7日追記:CX-60では3.3LディーゼルエンジンでCX-3と同等の燃費性能を達成したとされています。直6の3.3Lエンジンを積むことができたのはFRならではですが、FFのスモールプラットフォームでも2.2Lディーゼルエンジンを積めば燃費性能の向上の余地がありそうです。スモールプラットフォームの方が軽いのですからCX-60よりも燃費が良くなければおかしいです。ボンネットの低いMazda 3には2.2Lディーゼルエンジンを積むことができないかもしれませんが、ボンネットの高いCX-30ならどうでしょうか。)

もっとも、1.5Lエンジン車と2Lエンジン車とで同じように走らせるというのは意外と難しいのかもしれません。2Lエンジン車を運転していると、緩慢な動きをしているときには燃費が18km/Lくらいまで伸びますので、もしかしたら1.5Lエンジン車と同じくらい緩慢に走らせればもっと実燃費が伸びるのかもしれませんが、エンジン制御で燃料噴射量を抑制しない限り、つい排気量なりの走りをしてしまいそうです。