2020年2月19日水曜日

Mazda 3の燃費(その2)

しばらく乗り続けているうちに燃費の傾向が見えてきました。

平均:15km/L
市街地:10km/L
郊外:15-17km/L
高速道路(4車線以上):14-15km/L
高速道路(対面通行):16-18km/L

Mazda 3 20S 2LのWLTC燃費は以下の通りです。

平均:15.6km/L
市街地:12.1km/L
郊外:15.8 km/L
高速道路:17.7km/L

WLTC燃費は実燃費に近い数字が出ていて、デミオディーゼルの実燃費はMazda 2ディーゼルのWLTC燃費とほぼ一致します。こうして比較してみると、比較的流れがよく速度の低い郊外と対面通行の高速道路ではほぼカタログ燃費に近い数字が出ています。一方、市街地と4車線以上の高速道路ではWLTC燃費に未達で、そのせいで平均燃費も未達になっています。

対面通行区間での燃費が良いことから、4車線以上の高速道路でも対面通行区間と同じように前車追従でゆっくり走れば燃費がよくなるのかもしれません。あるいは、クルーズコントロールの加減速がもう少し穏やかになればクルーズコントロールを活用して燃費を改善する機会があるのかもしれません。

市街地についてはコールドスタートが原因かと思ったものの、WLTCでもコールドスタートで計測していますので、別の原因を考える必要があります。実際の市街地ではストップアンドゴーが多すぎる上、混雑がする道路で流れに乗って走ると加速も減速も緩慢ですので、エンジンの効率の良い領域を使えないのかもしれません。

ほぼ同じ重さの1.5L車だとカタログ燃費も実燃費も良くて、1.5L車のWLTC燃費は以下の通りです。

平均:16.6km/L
市街地:13.7km/L
郊外:16.5km/L
高速道路:18.4km/L

特に市街地では比較的大きな差がついています。車を動かすために必要な運動エネルギーの量はほぼ同じでWLTC燃費計測時の走行モードも同じなのに、エンジンの排気量が違うだけでどうしてこんなに燃費が違うのでしょう。なお、BMアクセラのときは1.5Lエンジンと2LエンジンとでJC08モードがほぼ同じでした。

考えられるのは、1.5Lエンジンの方が高回転域を多用することから、熱効率の良い領域を使っているということです。Skyactiv-Gは高負荷で燃費が悪くならない一方、低負荷での燃費はダウンサイジングターボに劣りますので、2Lエンジンを低負荷で使うよりも1.5Lエンジンを高負荷で使う方が燃費が良いのかもしれません。しかしデミオでは1.5Lエンジンでも実燃費では1.3Lとさほど遜色ないことから、そもそも1.5Lエンジンの出来が良いのかもしれません。実燃費についても、非力ゆえに大きな運動エネルギーを発生させる機会が乏しいのかもしれません。熱効率では1.5L有利、パワーの余裕と静粛性でしたら2L有利といったところでしょうか。

せっかくですので他車とも比較してみると、1.5L自然吸気エンジンとほぼ同じ性能を有するカローラスポーツの1.2Lターボ+CVTのWLTC燃費は以下の通りです。

平均:16.4km/L
市街地:12.9km/L
郊外:16.9km/L
高速道路:18.2km/L

カローラスポーツは1310kgとMazda 3の1.5L車の1340kgよりも軽く、しかも燃費に有利なCVTを搭載している割には1.5L自然吸気エンジンよりも燃費の数字が悪く、ダウンサイジングターボの熱効率の悪さが裏付けられます。

Mazda 3の2L車と比較対象となるのはカローラの1.8L自然吸気エンジン+CVTで、WLTC燃費は以下の通りです。

平均:14.6km/L
市街地:9.6km/L
郊外:15.9km/L
高速道路:17.6km/L

郊外でMazda 3の2Lよりも僅かに燃費が良いのを除けば、燃費の数字が劣ります。同じ自然吸気エンジンでの比較で、排気量が少し小さいとか重量が40kg軽いとか燃費に有利なCVTを使っているといった有利な要因が重なっている割には意外です。カローラのエンジンはまだ本命のダイナミックフォースエンジンではありませんので、カローラを買うならダイナミックフォースエンジンが載ってからにしたほうがよいのかもしれません。

(2020年5月14日追記:その後トヨタから2Lのダイナミックフォースエンジン搭載のカローラツーリングの特別仕様車が発表されました。CVTも発進段つきの新型です。WLTC燃費は以下の通りです。

平均:16.6km/L
市街地:12.2km/L
郊外:16.8km/L
高速道路:19.4km/L

ほぼ同じサイズ・同じ値段のMazda 3 20Sと比較して、郊外と高速道路での燃費は上回っています。最新のエンジンと10年落ちのエンジンとの比較では当然そうなりますが。特別仕様車なんて言わずにこれを標準にした方がよいのではないでしょうか。1.2Lターボもヤリス用の1.5Lダイナミックフォースエンジンに置き換えると実燃費が向上するかもしれません。)

しかしトヨタにはハイブリッドという驚異的に燃費のよい技術があり、むしろこちらの方が本命です。カローラスポーツのハイブリッド車(1370kg)のWLTC燃費は以下の通りです。

平均:30.0km/L
市街地:29.4km/L
郊外:32.9km/L
高速道路:28.8km/L

欧州車がどんなに頑張ってもこの燃費には遠く及びません。高速道路に強いMazda 3のディーゼル(1410kg)のWLTC燃費はというと、

平均:19.8km/L
市街地:16.4km/L
郊外:19.7km/L
高速道路:21.8km/L

と、エンジンだけで走る車としては健闘しているものの、得意なはずの高速道路ですらハイブリッド車に大きく差をつけられています。一定速度で巡航する高速道路ではハイブリッド車についているモーターとバッテリーが死重になりますので、エンジンの熱効率と車両重量が効いてくるはずなのですが、トヨタのハイブリッド用のエンジンも熱効率では負けておらず、さらに減速時の回生ブレーキが効いているようです。

同クラスの比較の対象としてはインプレッサの1.6L自然吸気エンジン(1330kg)と2L自然吸気エンジン(1350kg)(ともにFFの上位グレードでCVT搭載)がありますが、WLTC燃費はまだ開示されておらず、JC08燃費でそれぞれ16.4km/L、16.0km/Lと話にならず、比較するのが気の毒です。他社が水平対向エンジンを採用しない理由がよくわかります。燃費が悪い代わりに安いかといえばそうでもなくて、スバルはオプション無しの価格は安いですが常識的なオプションをつけるとカローラやMazda 3と同じくらいの値段になります。

走りが売りのシビックのハッチバック車(Type Rではない1.5Lターボ182ps+CVT、1350kg)のWLTC燃費は以下の通り。

平均:16.4km/L
市街地: 11.5km/L
郊外:17.3km/L
高速道路:19.3km/L

市街地以外ではMazda 3の2L車はおろかカローラの1.2Lターボよりも燃費が良いです。Mazda 3の1.5L車との比較でも、市街地の燃費では劣るものの負荷の低い郊外と高速道路ではまさっています。動力性能にすぐれているだけでなく燃費も良いなんて、さすがエンジンのホンダです。ただしシビックハッチバックのエンジンはハイオク仕様ですので燃料コストはその分高くなります。価格も他社の同クラスよりも50万円ほど高めです。ターボがついているとノッキング対策のため圧縮比を下げざるを得ませんが、ハイオク指定でしたらその分圧縮比を上げられます。マツダのSkyactiv-Gもハイオク仕様の圧縮比14で本来の性能を発揮できますので、同じ条件で比較すればそこそこ健闘しているのかもしれません。レギュラーガソリン仕様のシビックのセダンだとJC08燃費で19.4km/LとBMアクセラの2Lとほぼ同じです。敢えてシビックを買うのでしたらハッチバックでしょうね。